→現在発売されている監査システムの特徴、比較についての記事はこちら
こんにちはメディカルフィールズです。
皆様の薬局には医薬品の監査システムは導入されていますか?
散剤の監査システムを導入されているところは多いと思いますが、錠剤の監査システムを導入されているところはまだ少ないと思います
今回は薬剤監査システムについてメリット・デメリットなどを解説していこうと思います。
薬剤監査システムとは?
名前の通り薬剤(医薬品)を監査(正しくあっているかを確認)するシステムです。
別名として調剤過誤防止システム、監査支援システム、調剤監査支援システム、調剤監査業務補助システム、調剤秤量監査システム、医療用医薬品処方監査システムなど色々な呼び方があります。
基本的には監査(Audit)という意味が大事になります。
機械を使って人間が起こすミスをへらす事が監査システムの目的です。
監査システムのメリット
・薬剤の間違えが減る
目に見えてわかるメリットだと思います
実際にミスの発生率が90%減ったというデータもあります(参考:ミスゼロ子)
また医薬品を間違えることで医療訴訟になるケースもあるので、訴訟リスクの軽減にも繋がります
・調剤事故の医薬品破棄が減る
混合ミス、分包ミスなどで廃棄しなければいけなくなる薬は意外に多いです。
特に散剤や軟膏の調剤ですと一度混ぜてしまった場合、間違っていると破棄になる場合がほとんどだと思います。
医薬品の破棄は年間で15万円分ほどと計算されています。
参考:監査システムの提案
・患者対応で薬をもらってないなどのクレームに対処出来る
患者さんの中には渡したはずの薬がなかったなどのクレームをおっしゃる方がいらっしゃいます。その場合、レセコンなどのデータを見て間違っていないですよなどとお伝えすることが多いと思いますが、それだと納得されない方が多いです。しかし監査システムによっては渡すお薬の画像を残す事ができる機能があります。この写真を見せると納得していただけるケースが多いです。これは証拠としては非常に強いものになりますので訴訟が起こった場合でも対応できるものになります。
・時間外業務が減る
薬を間違って渡した場合に、郵送や直接薬を届ける薬局は多いと思います。
1件あたり対応するのに電話をして住所を調べて、など本来の薬局業務とは関係ない事をする時間が本来の調剤業務に当てることができます。
・レセコンへの入力ミスが減らせる
事務さんなどがレセコンへ処方箋データの入力をする際に入力を間違えるケースは多いです。
その場合でも監査システムがあれば、正しい医薬品を取得したのにも関わらずエラーが出るのでレセコンの入力ミスであることがすぐに分かります。
・処方箋情報を調剤室で見ることができる(薬局によります)
私の経験した薬局の1つですが、処方箋受付時にオリジナルの処方箋をコピーしない店舗で、事務さんが入力している受付にしか処方箋がなく、調剤すべき医薬品は受付まで行かないと見ることができないという薬局がありました。薬局の考え方なので従っていたのですが、とても不便でした。監査システムを使用してからは調剤室で処方箋情報が見れるようになったので単純にミスが減り、とても効率的になりました。
・薬局に対する信用性があがる
医薬品を間違って渡した場合にお叱りを受けることが多いと思います。(もちろん患者さんによります)患者さん的にはどこで薬をもらってもあんまり変わらないので、当然間違いが多いと、自然に患者さんは間違いが多い薬局を避けるようになります。これは近所の方の口コミを参考に医療機関を決めることが多い年配の方々に特に顕著にみられます。
・人間の介入が減るので薬局で薬剤師が気まずい思いをすることが減る
これは人それぞれに考え方が違うのですが、監査システムがあることない事である程度は機械がミスを担保してくれます。つまり他人から「あの人また間違えた」みたいな事がグッと減るんです
またダブルチェックをする際に人間は相手によって無意識に重要度を変えたりします。
Aさんはめったにミスをしないから大丈夫だろうと、簡単にしかチェックしなかったりした結局、間違えたなどの事があると不信感に繋がり人間関係的にギクシャクしたりします。
監査システムが有ると機械に責任をなすりつけれるので人間関係のトラブルが減り、また実際に機械があるとミスが減るので安心して調剤ができます。
・離職率が下がる
人間関係の話と関係しますが、単純に調剤過誤が減ると薬剤師の負担低下につながるので薬剤師が安心して働ける環境=離職率の低下につながる傾向があります。実際に知り合いの薬剤師でよくミスをする傾向にある方がいたのですが、監査システムがある店舗から無い店舗に配属になった際に、人間関係で退社した事例があります。
・若い人の採用がはかどる
今の若い薬剤師は特に大手で最初に就職した場合、監査システムがあるのが当たり前になっている場合があります。その方々が違う薬局に就職する場合に監査システムが有るか無いかは重要な要素になります。少し前に電子薬歴が普及しはじめた頃の現象と同じことが起こっています。
監査システムのデメリット
・作業が増える
1人のためダブルチェックが出来なかった店舗や、ほとんど監査を行っていなかった場合、機械による監査という作業が入るため必ず作業は増えます。特に操作になれていないうちはイライラしたり、監査の必要性が感じれない場合もあります。また監査機器によってはバーコードの読み取りに時間がかかったり、正しいのに間違っているなどの「クセ」が有ることも多いです。
・コストが掛かる
経営者的には一番大きな問題だと思います。監査システムは高価な場合が多いです。特に経営的に厳しいようなところですと、思い切った設備投資はやり辛いのが現状だと思います。
・設置場所を取る
監査機械によってはかなり大型な場合があります。特に監査システムが必要な小さな薬局の場合に設置場所がなくて置くのも断念したケースも有ると思います。機種によってはかなり小型の場合もあるのでそれだと設置場所はかかりません。
・操作を覚えるのに時間がかかる
特に年配の方が多い場合、新しい機械の操作を覚えるのに時間がかかる事が多いです。慣れるまで間は調剤業務にいつもより時間がかかり薬剤師と患者さんの不満につながる事があります。
・監査時間が増えるため患者さんからクレームが来る事がある
上記の話と少しかぶる部分が有るのですが、導入したての頃に多く見られる傾向です。操作に慣れていないうちは今までよりお薬の提供に時間がかかってしまうので一部の患者さんからクレームが来ることがあります。ただ、医薬品を間違えるの方が問題として深刻のため、患者さんに安全に薬を届けるために行っているなどの理由を丁寧に説明することで納得していただける場合が多いです
・監査システムを信用しすぎて監査業務がおろそかになる
これは若い方に見受けられる傾向ですが監査機器を信用しすぎる傾向があります。もちろん大幅にミスを減らしてくれる効果はあるのですが、完全に防ぐということはできません。また、レセコンでの医薬品の入力ミスがあり、さらに薬剤師側での同じ医薬品の取得ミスをした場合、監査システムで防ぐことはできません。完全に信用するのではなく、ある程度は人間が介入する余地も残す方が良い場合もあります。
・現場の薬剤師から反対される事がある
監査システムを使わないのが普通の薬剤師にとっては無駄な仕事が増えると考える方は少なくありません。当然そのような方々は反対する事が考えられます。特に電子薬歴の導入などに反対している方々に多く見られます。
・上司に交渉する必要がある
これは現場の薬剤師が欲しい場合に起こる事です。管理薬剤師や、オーナーの考え方によって変わるのですが、速度を相当重要視する場合やケチな場合は監査システム導入に反対するケースが多いです。あと米倉涼子ではないのですが、「私失敗しないので」的なオーラを放ってる方がトップの場合、失敗を防ぐ目的の監査システムの交渉するのは難しいかもしれません。
交渉が難しい場合、転職!・・・ではなく、監査システムのメリットをわかってもらうことが大事だと思います。粘り強く交渉する事で結果的にメリットのほうが多いと必要性を分かっていただけたら導入まではもうすぐだと思います。あと、どのメーカーの機械を選ぶかも重要です。あなたの薬局にあった監査システムを選ぶべきです。
監査システムがあったほうが良いケース
・1人薬剤師の店舗
一人薬剤師の場合、ダブルチェックなどが行えず監査自体が出来ない場合が多いです。調剤ミスの温床になっているケースが多く優先的に監査システムの導入を検討すべきです。
・大病院前など面で受けている薬局
面で受けている薬局は採用薬が多い傾向にあります。採用薬が多いと先発、ジェネリック、OD錠など取り間違いのミスをする可能性が増えていきます。調剤過誤のリスクが門前薬局より高いため監査システムを導入したほうが良い事例です。
・新人薬剤師が多い店舗
特に3年目以下の薬剤師は調剤過誤をする可能性が高いというデータがあるため監査システムがあると安心です。
また新人薬剤師自身も監査システムがあると安心して働けます。
・薬剤師の移動が多い店舗
薬剤師の移動が多い店舗では業務に慣れていない方が多くなるためミスが勃発します。そのような店舗では監査システムは非常に有用です。
また監査システムの中には医薬品の場所情報などを表示できたりする機能があり、ヘルプで入った薬剤師のピッキング業務も捗る場合があります。
・クレーマーが多い店舗
偏見は良くないかもしれないですが、生活保護が多い店舗、精神科の門前などではクレームが増える傾向にあります。そのような店舗ではもらった、もらってないなどが日常的に起こり薬局業務の支障になることが多いです。
そのような場合には監査システムを導入すると、患者さんへの薬を渡したという証拠になり、結果的にクレームが減ります。
監査システムのまとめ
監査システムの導入にはメリットのほうが多いのですが、一番のネックは多分導入費用だと思います。特に中小の薬局では導入するほどの余裕がないところも多いと思います。
しかし長期的な視点で見た場合でもやはりメリットのほうが多いと思うので導入を是非視野に入れてみてはいかがでしょうか
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※この記事は当社の薬剤師である濱宏樹が監修しております